« 福山通運の小丸会長が死去 | トップページ | Windows Phone没落の原因は(Gigazine) »

2019/02/13

理科系の読書術(鎌田浩毅)

理科系の読書術(鎌田浩毅)


理科系の読書術
ーインプットからアウトプットまでの28のヒント
鎌田浩毅
中央公論社 
中公新書2480

 本を読むための、ある意味、基礎的な部分を語っています。
 ただ、これが万人に効く処方箋というつもりはないですが。

 実際、幾つか、ちょっと頭をひねる部分もありますが。
 でも、実践論として、納得できる部分が多い。

 そして、それを踏まえてですが、二通りの読者に薦めたいと思いました。
 いや、筆者自身はそう言っているわけではないのですが。

 まずは、子が本を読めない子と嘆く親です。
 自分も本を読めなくて苦労したので、老婆心で子に読めという。

 でも、そもそも、その体験を活かせない親が大多数です。
 親自身も、方法論を持たないが、苦い体験だけはある。

 本が好きでない人に、本を読んで貰うにはどうしたらよいか。
 筆者が過去に苦労した体験からのノウハウを語っています。

 環境面を整えるとか、気持ちの持ちようとか。
 読書のハードルを下げるために、知っておくと役立つこと。

 本を読み慣れている人からすれば、恐らく、大半はなーんだです。
 しかし、言われると、そうかなという感じで。

 一番なるほどと思ったのは、「読書とはすでに知っている9割を確認すること」という点です。

 逆に言えば、知らないことばかり書いてある本については。
 まだ、自分が読むべき段階にはないと思えば良いのでしょう。

 その手前で読むべき本を探すのか。
 あるいは、分割して、既知と未知との割合を変えるのか。

 そして、この本を薦めたい読者のもう1つのタイプは。
 本を書く立場の人たち、あるいは、教師のような立場の人たちです。

 本当に本を読む力のない読者を前提にして。
 筆者は、いかに本を作るべきか、考えさせられます。

 少しでも、読み続けられるよう、面白く読めるように。
 工夫をしなくてはならない、ということかなと。

 単に、俺の知っていることを教えてやるで書いた本は。
 言わば、同人誌であり、自慰行為レベルに過ぎません。

 どうやって、読み手に寄り添っていくべきか。
 そこを考えるためにも、おすすめしたい本です。

 なお、同じ中公新書で、昔からある、「理解系の作文技術」と似てますが、全く別の本です。


理科系の作文技術
木下是雄
中公新書

 こちらはこちらで、事実と意見との区別で是非読むべき本ですが。

|

« 福山通運の小丸会長が死去 | トップページ | Windows Phone没落の原因は(Gigazine) »

学問・資格」カテゴリの記事

書籍・雑誌」カテゴリの記事

学校教育」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 福山通運の小丸会長が死去 | トップページ | Windows Phone没落の原因は(Gigazine) »