求められる改正民法の教え方(加賀山茂教授)
求められる改正民法の教え方(加賀山茂教授)
「民法体系」の著書がある加賀山教授の新著。
私は、加賀山教授の本で要件効果の考え方を学んだので、本屋にあれば手に取ってしまいます。
で、内容は、タイトルとは全く異なります。
嫌な質問に答えられるためのものではなく。
嫌な質問の存在に教師は気が付くべきだという趣旨で。
それを前提として生徒たちと向き合うべきというもの。
それは、改正民法の不整合を抉るものだったり。
あるいは、用語の不適切性を指摘したり。
本書でびっくりしたのは、規制改革会議の一部収録。
なんと、福井秀夫委員が、筒井参事官に噛みついている。
本当に改正する必要があるのかの具体的な例示を求めた福井教授に、筒井参事官はまともに答えられていない。
加賀山教授が言うのもなるほどという感じ。
そして、一番納得だったのは、民法562条の説明で。
買主の追完請求権の話。
1項1号本文は「買主は……できる」ですが。
但書は、「売主は……できる」となっていて。
前に条文を読んで、ずっと違和感だったのですが。
やはり、これは売主の追完権であると。
日本も批准済のウィーン売買条約48条と同じだと。
更に、563条の代金減額請求権も、追完不能が条件で。
実は、売主の追完権の1つであり。
買主の権利はむしろ軽視されているのだと。
そうですよね。
ようやくスッキリしました。
最後の方では、法制審議会委員の選出にも批判があり。
法務省の狙いに反する意見を述べる専門家が排除されたと。
池田真朗、加藤雅信、角紀代恵、河上正二、廣瀬久和。
彼ら真の専門家のうち一人でも委員がいないのは、改正への異論を排除したのだろうと。
なかなか過激ですが、実態でもあるのかもしれません。
人によっては毒薬かもしれませんが、改正法を理解するのには、別の意味で、一助になるかもしれない本だと思います。
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