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2019/05/06

レバレッジによる節税スキームの位置づけ

レバレッジによる節税スキームの位置づけ
 
 仮に、初期状態で、現金が2000万円であったとして。
 8000万円ファイナンスを行い、1億円の土地を取得すれば。
 
 財産は土地1億円、債務が8000万円で純資産2000万円。
 本来、ファイナンスによる土地取得前と、ポジションは不変である。
 
 当たり前で、財産を組み替えしただけで純資産が変動するのなら。
 経済的に見れば、[1]経済合理性がない取引が行われたか、[2]前提の時価評価がおかしい以外にあり得ないからだ。
 
 しかし、税務評価の視点で見ると、話が違う。
 それは、現物財産について、評価減規定があるからだ。
 
 土地は、公示価格の8掛けが路線価評価だとの前提を置けば。
 相続税評価財産8000万円で債務が同額となり、純資産ゼロになる。
 
 これが、レバレッジによる節税スキームの基礎である。
 両建てにして、資産を現物化することで、評価減の恩恵を創出できる
 
 債務は額面額通りなので、両建てにしただけで、評価減が生まれて。
 マジックのように租税回避ができる、という話に繋がる。
 
 金融機関・アパマン業者が勧めている対策の大半はというと。
 とどのつまり、こんなシンプルな話で作成されている。
 
 では、課税庁が、公示価格8掛けを土地評価としているのは何故か。
 それは、善良な納税者を前提にすれば、安全性による割引が必要だから
 
 決して、富裕層の租税回避のため評価減規定を作っているわけではない。
 しかし、現行法では恩恵たる路線価評価を逆手にとって租税回避される。
 
 理論的には、原則を変更してしまうことも可能だろう。
 だが、そうすると、今度は、大多数の善良な納税者が割を食う。
 
 長年、課税庁が悩みつつも、抜本策を講じられない理由はそこにある。
 租税回避する連中は、全体からみれば圧倒的に少数なのだ。
 
 言ってみれば、この節税策というのは、課税庁から見ると、
 善良な多数の納税者を人質にとって行われる悪徳スキームとなる
 
 だから、あからさまなものは、否認したくなる。
 それは当然のことですね。
 
 否認のためには、丁寧な事実認定ができるだけの材料収集が必要であり。
 全ての事案で否認が行われるということにはならないのだろうけれど。
 
 だからと言って、課税庁が諦めるということにはならないのだろう。
 むしろ、何かあれば、徹底的にやる、というのが基本姿勢になる筈だ。
 
 「通達にこう書いてあるから否認されない」
 そんなのが寝言だというのは、心ある実務家なら常識なわけですが。

 

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