学者らが、こぞって間違え始めた(ゼロからマスターする要件事実)
学者らが、こぞって間違え始めた(ゼロからマスターする要件事実)
月刊税理2019年10月号(ぎょうせい)より。
〇ゼロからマスターする要件事実 第46回
学者らが、こぞって間違え始めた
岡口基一(仙台高等裁判所判事)
今回も復習的ですが、久々に、愚痴話レベル(失礼)から脱却した感じの内容でした。
旧実務では、評価障害事実を当事者の主張欄の抗弁の所に記載していた。
被告の要証事実だから、抗弁欄という整理だった。
では、規範的要件の場合(例:正当の事由があること)、どう考えるべきか。
請求原因の要件事実にはなるが、総合判断なので、評価根拠事実や評価障害事実は、主張立証責任は起きない。
なので、本来は、整理できないというのが正解のはずだった。
ただ、実務上は、便宜的に、上記整理から、抗弁欄記載をしていた。
ところが、この実務を無理に理屈で説明しようとして司法研修所は血迷った。
規範的要件の評価根拠事実は請求原因の要件事実で原告が主張立証責任を負い、評価障害事実は被告が主張立証責任を負うと整理した。
分けられないものを無理に分けるので、訴訟法学者には失笑された。
ただ、実務家は、方便に過ぎないと理解していたので問題は生じなかった。
だが、その後、民法学者が書籍の後追いでそのまま研修所理論を信じて。
事情を知らず、教科書などにそのまま使って、混乱を生じてしまったと。
うーん、まぁ、判決文のリップサービス部を殊更に重視する例もあるし。
学者にはよくある話のような気もしますが、それはさておき。
ただ、要件事実の混乱は、民法学者のブームが終焉しつつあるのに。
労働法学者まで、教科書に書き始めて、深刻な状況を招いていると。
そのあたりが次回なのだそうです。
久々に次号への興味が湧きましたが、肝心の「税理」の他の記事が……。
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