相続財産についての情報と個人情報保護法2条1項にいう「個人に関する情報」(金融法務事情)
相続財産についての情報と個人情報保護法2条1項にいう「個人に関する情報」(金融法務事情)
金融法務事情2019年10月10日号(no.2123)より。
□判決速報
相続財産についての情報と個人情報保護法2条1項にいう「個人に関する情報」
最高裁平成31年3月18日第一小法廷判決 破棄自判
原審=広島高裁岡山支判平成29年8月17日 平成28年(ネ)第222号
第1審=岡山地判平成28年10月26日 平成27年(ワ)第1113号
相続人である原告が、故母親の印鑑届出書の写し交付を、被告銀行に求めた。
自筆証書遺言が偽造ではないかとの疑念で、確認したかったからということで。
個人情報保護法28条1項に基づいて、開示請求を行った。
しかし、銀行側が、これを認めなかったので、争いになったもの。
最高裁は、相続財産情報がただちに相続人の個人情報になるわけではなく。
情報の内容と個人との関係を個別に検討して判断すべきだとして。
本件については、相続人がこの印影を、新たに銀行取引で使うわけでもないし。
あくまでも、母親が取引をするために届けたものであるとして。
最終的には、相続人の請求を棄却したと。
まぁ、相続人が欲しがる理由はよくわかりますし。
税務調査では、よく見られているわけですから。
なんかなぁ、というのはなくはないのですが。
しかし、個人情報保護法を根拠では使えない、ということですね。
正確に言えば、内容次第では行ける場合もあるかもしれないが。
一般論としては、出せば認められるわけではないよと。
金融機関側としては、必ず知っておくべき事案でしょうし。
相続にかかわる人間は、ちょっと頭の片隅には入れておくべきかなと。
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