「間違い」がそのまま固定しつつある労働法の要件事実(ゼロからマスターする要件事実)
「間違い」がそのまま固定しつつある労働法の要件事実(ゼロからマスターする要件事実)
税理2019年11月号より。
□ゼロからマスターする要件事実 第47回
「間違い」がそのまま固定しつつある労働法の要件事実
岡口基一(仙台高裁判事)
東京地裁労働専門部で出版したいわゆる労働部本において。
解雇の有効性という規範的要件の要件事実を記載した。
(「労働事件審理ノート」(判例タイムズ社))
ところが、この際に、司法研修所説に従ってしまい、
・請求原因の要件事実=有効であることの評価根拠事実
・抗弁=有効であることの評価障害事実
と整理されてしまった。
当初は、経験の少ない未熟な判事補の記述であるとして。
現場は鷹揚に受け止めていたが、そのまま年数が経過して。
労働部本の記載に沿った下級審裁判例が出始めてしまった。
更に、労働法学者達が、これを参照し、支持してしまった。
この下級審裁判例が蓄積された結果を受けて。
なんと、最高裁まで、これを採用してしまったのだと。
それが、ハマキョーレックス最高裁判決だったのだと。
原文を読んでいませんので、評価する能力がありませんが。
当時、かなり話題になったというのだけは記憶あります。
で、このような間違いの固定化という問題については。
別の法律分野でも顕在化する可能性があると指摘。
なるほど、いかにも、税法の要件事実とか本が出そうだし。
しかし、税務の場合、実務家は、むしろ。
要件事実より、事実認定に習熟すべではないかと。
そんな気がするのですが、気のせいでせうか。
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