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2019/12/24

これからの要件事実(ゼロからマスターする要件事実)

これからの要件事実(ゼロからマスターする要件事実)

 月刊「税理」2020年01月号より。

○ゼロからマスターする要件事実 第49回
 これからの要件事実
 岡口基一(仙台高等裁判所判事)

 約4分の3がこれまでの振り返りなので、そこは省略して。
 核心だけに絞りますが。

 実務でいう要件事実とは、生の事実を法的見地から再構成するスキルだ。
 それは誰のためかというと、もはや、裁判官のため中心のスキルではない。

 何せ、判決書では、「当事者の主張欄」を作成するスタイルはもはや消滅。
 今更、裁判官のため(だけ)のものだ、とは言いづらい。

 では、誰のためかというと、法曹とりわけ弁護士のためのスキルだと。
 訴状を起案する原告側弁護士、答弁書を起案する被告側弁護士のため。

 それを踏まえて、裁判官にとっても、双方の主張内容整理のスキルになるが。
 これらに共通して、生の事実から法的に再構成された事実こそが重要になる。

 すると、一見すると、これまでの要件事実と変わらないように見えるが。
 従来の要件事実と、これからの要件事実とでは、違いが生じているのだと。

 つまり、従来は、各当事者が立証責任を追うべき事実が要件事実だった。
 しかし、これからの要件事実では、各当事者が主張責任を負うべき事実になると。

 このあと具体的には、次号以下なのだそうです。
 なんか、引っ張るなーですが。

 ところで、要件事実についての書籍の多くでは、主張責任も定義にありますね。
 すると、これは単なる力点の置き方の違いに過ぎないのでしょうか。

 ただ、9月号あたりだと、立証責任との繋がりが切り離されたので。
 主張の整理のためのツールとして使えという話をしていました。

 うーん、なんか、毎号、微妙に同じような記述が繰り返されて。
 しかも、微妙に違う感じの記述なので、隔靴掻痒感半端ないですね。

参考)

「要件事実とは民法,商法等の実体法上の権利変動の要件に該当する事実である。そして,要件事実論は要件事実について,その中のどの事実がどの当事者の主張・立証責任に帰するかを決める理論である。」
(「要件事実論序説」東孝行 信山社 2006年07月31日第1版第1刷 P3)

「前記第2で説明しましたように,要件事実とそれ以外の事実との仕分けができたとすると,今度は,ある具体的事実を原告,被告のどちらが主張立証すればよいかということが問題となります。これが,主張立証責任の分配の問題と言われるものです。」
(「要件事実・事実認定入門」伊藤滋夫 有斐閣 平成15年11月10日初版第1刷発行 P44)

「主張責任は要件事実について存在するものであり、法律効果自体について存在するものではない。」
(増補 民事訴訟における要件事実第1巻」司法研修所 法曹会発行 平成10年07月01日 P12)

 

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