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2020/01/27

「立証責任から主張責任へ」とは?(ゼロからマスターする要件事実)[税理]

「立証責任から主張責任へ」とは?(ゼロからマスターする要件事実)[税理]

 月刊税理2020年02月号より。

○ゼロからマスターする要件事実
 第50回 立証責任から主張責任へ
 岡口基一(仙台高等裁判所判事)

 今回からは、著者によるあるべき論。
 まずは、民訴の3段階、請求レベル・主張レベル・立証レベルを思い出せと。

 請求権行使に、根拠となる請求権の内容を明示するのが請求レベル。
 次に、主張責任を負う事実を主張するのが、主張レベルで、抗弁主張もここ。

 最後が、反対当事者が認諾しなかった事実の存在を証拠で立証する段階で。
 これが、立証責任を伴う立証レベルの話。

 レベルと著者は言っていますが、順序がある概念なので、本来はフェーズでしょうね。
 以下は、勝手に言い換えますが、ご容赦を。

 で、主張フェーズは、立証フェーズに先行するので、まずは主張責任の問題が生じる。
 なにせ、立証責任は立証フェーズに移行しなければ生じないものだから。

 であれば、要件事実論も、主張フェーズでどんな事実を主張するかというのが。
 むしろ自然ではないか、というのですね。

 ただ、これまで、なぜ裁判所実務では、立証責任を中心に考えてきたのかというと。
 2つ理由があるのだと。

 1つは、ユーザーが裁判官であり、要件事実は、判決書起案に使うためのツールだったからと。
 事実認定で当事者の主張を整理する以上、立証責任中心というのは自然だったわけですね。

 もう1つは、立証責任は、「主張責任のパラレルのような意味で使ってきた」からだと。
 いつもにも増して、意味が不明確な表現なので、かなりわかりにくいですね。

 その後の説明文章も、たぶん、何を言っているのか、普通の人にはわからない。
 ここでは、法律素人の私が勝手に意訳してしまいますが。

 要するに、立証責任と言いつつ、実際には、ほぼ必ず主張責任がセットになっているので。
 わざわざ主張責任を取り出して議論する局面が少なかったということなのでしょう。

 主張責任と立証責任とを区別しなくても、実務では困らなかったともあります。
 このあたり、著者は、司法研修所が、立証責任の意味を間違って使ってきたと言います。

 ただ、前回も書きましたけれど、そもそも、要件事実論で、論者によっては異なる理解をして。
 主張・立証責任の観点から、実務の説明をしていたと思えます。

 なぜ、著者が言うような方向で、敢えて分離して理解して、過去は間違いという必要があるのか。
 素人である私には、さっぱり見えません。

 次回は、正しい立証責任の意味について考察するそうですが。
 もうしばらく著者の主張を見てみないと、現時点では判断保留ってところではないでしょうか。

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