契約者の死後、遺族に支払われた人身傷害補償保険金の法的性質と課税関係(税理)
契約者の死後、遺族に支払われた人身傷害補償保険金の法的性質と課税関係(税理)
月刊税理2020年02月号より。
○プロから寄せられた難問事例
第59回 契約者の死後、遺族に支払われた人身傷害補償保険金の法的性質と課税関係
山田俊一(税理士)
人身傷害補償保険金こと人傷保険については、平成22年の保険法施行までは商法がベース。
保険金請求権は、相続人固有の権利として、相続人が原始取得するものとして整理がされていた。
ところが、保険法では、請求権は被相続人から相続人に承継取得されるとの解釈になった。
原始取得説から相続承継説への転換が行われた、というのですね。
しかし、既に存在する下級審裁判例は、原始取得説を前提として判決がくだされている。
現在の保険実務は、まだこちらに従っているのだと。
とすると、保険法と裁判所判断・保険実務との関係が一義ではない。
そのように理解すべきなのでしょうか。
では、課税関係はどうなるかですが、ここでは被保険者死亡の損害額について。
相手方過失割合に伴う相手方の損害賠償金は非課税になるものの。
夫(親)の過失割合に伴う保険金は、受取人側で相続税として課税されることになる。
受取額の一部が非課税、一部が相続税という混在状態になるのですね。
さて、設例では、保険金以外に親に債務が存在しているので、子は相続放棄も視野になる。
法務を踏まえて、子はどう判断すべきかという話。
単純相続すると、相続財産たる保険金より債務額が超過することになる。
課税は生じないが、債務の弁済を固有財産から行う必要がある。
相続放棄すると、債務が承継されないのは当然として。
人傷保険金は原始取得できるのだと言います。
あれ、先の解釈の話はどこに行ったんだろう。
それはともかく、取得した保険金はみなし相続財産で相続税課税。
ただし、保険金額が基礎控除以下で、他の相続財産なければ課税がないので。
相続放棄が有利だというのが、設例での著者結論。
ちょっと前提の法律問題の扱いが不明確なので、100%は信じられませんが。
とりあえず問題の所在まではわかったということで、勉強になったというべきでしょうね。
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