遺留分侵害への後見人の対応(家族信託実務ガイド)
遺留分侵害への後見人の対応(家族信託実務ガイド)
家族信託実務ガイド2020年2月(第16)号より。
○自宅の信託と親なき後の遺留分問題への対策
向田恭平(司法書士)
遺留分を侵害する信託契約書・遺言書を作成した場合の話がある。
財産は自宅以外にほぼ金融資産はない状況。
同居の長男以外に障害のある長女がいるが、皆それなりの年齢。
長女には後見人がついており、障害年金で生活は確保されている。
本人は、長男に全財産を渡す遺言を書く予定だったが。
信託で、受託者は長男、自分が委託者兼当初受益者、となり。
第2受益者は、長男(受益権割合75%)、長女(同25%)として。
受託者と受益者の合意までは、信託が存続する設計にすることで。
予め長女に遺留分相当額を渡していることになるので。
遺留分の問題を解決できるだろうと想定した。
で、実際に、信託契約書・遺言書を作成した後の話として。
それを聞いた長女の後見人が、どう反応したのか。
まず、遺留分を行使するという話をしてきたと。
筆者が話をすると、自宅が主な財産であるとした上で。
遺留分行使があると自宅売却となる可能性があることを説明すると。
付言事項があれば考慮しますと言われた由。
つまり、これはまだ結論が出ていない話であり。
どうなるかやってみないとわからないってことですね。
文中説明があるように、後見人の職務として、できるのに。
遺留分侵害額請求権を行使しないわけには、原則いかないと。
ただし、先に挙げたような事情がある場合、例外的措置として。
行使しない場合もある、ということではあるものの、予測不能。
このあたり、信託の提案者たちが、どの程度の説明をしているか。
民法改正による譲渡所得負担発生可能性もあるし、厳しいかも。
いや、この号で連載終わる荒井英雄氏は、最近の専門家状況について。
安易な取り組み傾向になっていることへの警鐘を鳴らしています。
(「家族信託の営業・受注のノウハウ」第3回 荒井英雄)
たぶん、これから何か事故が起きるのでしょうね。
関根稔先生の言う「カサンドラの予言」ってところですか。
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