複層化信託における収益計上者は誰か
複層化信託における収益計上者は誰か
季刊資産承継2020冬号(no.10)「特集Ⅱ第7回資産承継研究会セミナー報告」より。
○信託の資産・事業承継への活用
活用例:複層化信託
講演者:永安栄棟
著者は、財務省解説の「仮に信託がないものとした場合に同様の権利関係を作り出そうとすればどのような権利関係となるかが参考になる」を踏まえて考えるべきだとして。
「元本受益権者に所有権が移転すると同時に、元本受益権者は信託財産から生じる収益を信託期間にわたり収益受益権者へ支払うべき債務を負担することになる」と整理できる、とする。
この場合、収益も費用も、元本受益権者で計上すべきだというのですね。
なるほど、考え方としてはありでしょう。
少なくとも、B/S・P/L泣き別れ問題は解決できます。
ただ、プリミティブに、収益受益権者が収益を得るとは考えないわけですから。
現場からは、相当違和感を持たれるでしょう。
また、確かにこの考え方はありえるのですが、ある意味規範論的であり。
解釈論として、こう条文が読めるかというと、多分無理です。
なので、ありえる考え方だとは思いますけれど。
私は、このルートは以前放棄しました。
でも、書きぶりが、これ以外を許さないような書き方です。
これって野村資産承継研究所の見解ってことで、本当にいいのでしょうか。
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