裁判員制度導入の趣旨
裁判員制度導入の趣旨
今や、法曹界の中からも、失敗という声が公然と聞こえる世の中。
では、何のために裁判員制度を導入したのか。
審議会意見書に戻って確認してみると。
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IV 国民的基盤の確立
第1 国民的基盤の確立(国民の司法参加)
1. 刑事訴訟手続への新たな参加制度の導入
刑事訴訟手続において、広く一般の国民が、裁判官とともに責任を分担しつつ協働し、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与することができる新たな制度を導入すべきである。
司法制度改革審議会意見書ー21世紀の日本を支える司法制度ー
平成13年6月12日 司法制度改革審議会
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つまり、2つの目的があったと。
1つは、「一般の国民が、裁判官とともに責任を分担しつつ協働し」であり。
もう1つは、「一般の国民が、裁判内容の決定に主体的、実質的に関与する」だと。
前者は、要するに、重すぎる責任を裁判官が負えなくなりつつある。
だから、バードンシェアしてくれ、という本音が透けて見えると言ったら失礼か。
いや、少なくとも、責任分担というのは間違いだと思うのです。
書くとすれば、国民が自身の問題として自覚を持ってくれ、ということだった筈。
他人事ではなく、社会的な解決手段としての法に向き合ってほしい。
そこについて述べるのが、本来だったのだと思います。
そして、そうだとすれば、まずは教化つまりいかに国民の意識を高めるか。
その過程を無視できなかった筈なのに、いきなり、制度を導入してしまった。
これって、自転車用通路をいきなり車道に変更した交通法規の変更に似ています。
諸外国がどうだろうと、突然ルール変更して、国民がついてくるのかは無視。
結果、制度のあるべき姿は、混乱して、ぐちゃぐちゃ状態になる。
まさに、裁判員制度は、始末に困った忌み子状態と言ってよいでしょう。
後者だって、やれと言われて身につくものではなくて。
担雪埋井で、国民を教育していくことこそが、急がばまわれだった筈です。
結局、中途半端な上から目線を持った人たちが、制度設計者に多かった。
どうやって制度を回していくかの経験がない人たちが、担当してしまった。
そのような一種の共同犯罪行為のような結果が現状なのではないでしょうか。
つまり、担当者たちは、誰も、自分が悪かったと考えずに、制度を変えてしまった。
我々が教訓にすべきは、今後の制度変更する時に、何を考えて、何をやるべきか。
高価な授業料を払わされた失敗例として、この制度を見るべきなのではないか。
そのように思っているのですが、どうなんでしょうね。
いや、違う業界の人間ですが、この種の失敗は自分たちにも繋がることですから。
他人事にすべきではない、そのように思っています。
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