「監査法人として経営者の誠実性に疑念が生じ」（アーク監査法人）T&Amaster

「監査法人として経営者の誠実性に疑念が生じ」（アーク監査法人）T&Amaster

　T&Amaster2020年6月29日840号より。

〇特別解説
　日本企業による会計監査人交代の理由（臨時報告書による開示例）②

会計上の不祥事等を契機とする変更事例より。

「同監査法人より、この決算訂正の要因となった過去の事実関係のうち一部の重要な情報について発生当時から訂正直前期まで同監査法人に提供されていなかったこと、かかる対応により同監査法人として経営者の誠実性に疑念が生じ、当社との信頼関係が損なわれたこと、また、新規事業進出等の経営環境の変化により監査工数の増大も見込まれることから、任期満了に伴い契約更新を差し控えたい旨の申し出を受けました。」
（明豊エンタープライズ　臨時報告書　2019年9月17日提出　アーク有限責任監査法人）

「経営者の誠実性に疑念が生じ、当社との信頼関係が損なわれた」ですか……。

　こういうことを書くことができる時代になったんですね。
　もう下手な遠慮はできないということを、監査法人側が強く認識していると。

　かつては遠慮するのが当然で、その中で如何に批判性・指導性を発揮するか。
　そこに腐心した時代だったという理解ですが、もうそういう時代は終わりを告げたと。

　歌を忘れたカナリアとしては、隔世の感がありますね。