再び、裁判規範と行為規範(ゼロからマスターする要件事実)
再び、裁判規範と行為規範(ゼロからマスターする要件事実)
月刊「税理」2020年8月号より。
○ゼロからマスターする要件事実 第56回
再び、裁判規範と行為規範
岡口基一(仙台高等裁判所判事)
前回出てきたローゼンベルグの原則について。
理論面の問題がないか、具体的に見るという話の回ですが。
結論は、「別に問題はなかった」って、なんじゃそれの世界。
そして、今度次回は、
「民法は裁判規範だから、請求権は、勝訴判決が確定して初めて発生する。ローゼンベルグは、こういう考え方に立っていますが、この点には問題がないでしょうか。このことは次回にお話したいと思います。」
ですって。
ほぼ次回詐欺に近いとまで言ったら、怒られますか。
で、今回、紙数の大半は、民法における裁判規範性と行為規範性との関係説明。
一言で言えば、排他的なものではない、という話ですが。
究極は裁判規範だが、行為規範としての性格もあって。
時効の援用などは、その側面を表していると言えるだろうと。
ただ、相殺は、裁判規範のみの性質を持つ訴訟上の相殺という概念があって。
裁判規範・行為規範両方の性質を持つ訴訟外の相殺も併存している状況だと。
たぶん、読者は、読んでいて、あっちこっちへ行く論旨に振り回されますね。
前回と今回もそうですが、読者目線なら各回を再構成すべきレベルです。
それは、元々の流れで、先にきちんとパーツ説明をしていないからで。
この点、以前も書きましたが、最近、どんどん酷くなってきている気がします。
要するに、「税理」編集部の校正で、物言える人がいないのでしょう。
日税連は、いつまで監修の文字を付けておくつもりなのか、不思議です。
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コメント
私は法学部卒ではないので、あくまでも整合性と論理一貫性という観点からしかコメントできませんが。
仰っていることは、感覚的に納得する部分が多いですね。
いずれにせよ、ズルズル伸ばさず、スパッと良い終わり方をしてほしいと願っています。
投稿: はまちゃん | 2020/07/30 13:00
コメントありがとうございます。
知名度のある筆者ですし、連載が終わると雑誌の売上に響くという事情もあるのでしょうね。
私は法学部卒なのですが、この連載には、もともと用語の定義や論証が雑なところが多く、誤った(少なくともミスリーディングな)記述もそれなりにあるのが、気になっていました。
連載の長期化で、それが一層目立つようになった印象があります。
それは筆者にとっても雑誌にとっても、信頼という点で望ましくないと思うのですが…
難しいところですね
投稿: 太陽 | 2020/07/30 11:03
太陽系さん、こんにちは。
著者は著者なりに言いたいことがあるのでしょうけど。
読者とすれば、書いたことだけでちゃんと分かるように書いてくれというところですね。
元々、「税理」編集が依頼した連載は2年間だったと聞いていますので、もはや、当初の構想外の内容になっていることは、容易に想像できます。
連載をどう終わらせるかが難しいのは、少年ジャンプだけじゃないのかもしれません。
投稿: はまちゃん | 2020/07/30 01:01
はじめまして。
私も岡口裁判官の連載を読んでいて疑問を持ち、こちらに辿り着きました。
これまでの回では、「民法は裁判規範であって行為規範ではない」と書いていたのに、今回は「(二次的とはいえ)行為規範としての性質もある」というのは、矛盾しているとしか思えません。
行為規範でもあることを認めた時点で、「裁判確定以前には権利義務の仮象があるにすぎない」というのも、既に否定しているようにも思います。
投稿: 太陽 | 2020/07/29 18:56