ローゼンベルグから要件事実へ_ゼロからマスターする要件事実
ローゼンベルグから要件事実へ_ゼロからマスターする要件事実
ゼロからマスターする要件事実 第58回
ローゼンベルグから要件事実へ
岡口基一(仙台高等裁判所判事)
著者は「今回の検討で、ローゼンベルグの原則の問題点が明確になってきました。」と言うのですが。
正直、読んでみても、何が明確化されたのか、さっぱり。
説明がトートロジー気味なので。
何故なのかは、正直全くわかりませんでした。
実際に書いてあることの中核はなにかというと。
請求権の発生要件事実の存否不明な場合、請求権が発生しないことの説明まわり。
どうして請求権が発生しないかには、2つの考え方があると。
ただ、ローゼンベルグがどちらの立場かは自身で明確にしていないと。
1つめは、発生要件が具備されていないとの説明。
存否不明で分からないことは、具備されていないと整理する。
2つめは、発生要件が具備されているかどうかを問わずに。
直ちに請求権発生を認めないとするもの。
えーと、「どうして」「考え方」の説明なんですよね。
2つめって、何故の説明じゃなく、決め事の説明にしか見えません。
本人も「事実の存否がわからないときは裁判をしませんと宣言をしているのに等しい」と書いているので、余計に意味不明。
恐らく、そもそも2つあるのは、「どうして」や「考え方」ではなくて。
単に、説明が2通りある、というだけなんでしょうね。
と言いつつ、結局2つめは、とれないとあっさり捨て去ります。
じゃあ、2つを紹介する意味ないじゃんと思うのは私だけなのか……。
しかも、1つめもローゼンベルグの原則と同じ問題を抱えているとして。
すぐに破棄してしまうので、なんじゃこれ状態。
ただ、恐らく、これを確認したことで、ローゼンベルグの問題を。
再確認したつもりで「問題点が明確になってきた」とあるのでしょうね。
なんか、本当に、何書いてあるのか不明です。
で、要件事実論の総本山である司法研修所民事裁判教官室でも。
この問題点に気がついていたが、1つめでなんとかするしかないと考えていたと。
ここで、ローゼンベルグの「わからない=ない」原則を維持するため。
法的三段論法を改変しているのだ、という話になります。
元々、法的三段論法の大前提部分は、2つのルールしかなかった。
1 法律要件具備→法律効果発生
2 法律要件不具備→法律効果不発生
しかし、
3 法律要件の具備不具備不明→法律効果不発生
という新たなルールを正面から認めればという話になったのだと。
なんか言いたいことはわかりましたが、すごい回り道ですよね。
しかも、完全に余計。いきなりこの話をすればよかったのに。
で、上記の考え方は、実体法と訴訟法の分離という近代の方向性からは。
逆行しているようだが、教官たちは、この方向性で行くと決めたと。
次回はその見解を見ていくが、これが本来の要件事実である。
という話の始まりなのだそうです。
それにしても、なんでこんなにわかりにくい文章なのか。
私の能力のせいだけとは思いにくいのですが、どうなんでしょうね。
まる子なら「あたしゃ疲れたよ」状態です。
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