請求原因の要件事実に立証が組み込まれている例証_ゼロからマスターする要件事実
請求原因の要件事実に立証が組み込まれている例証_ゼロからマスターする要件事実
月刊「税理」2021年2月号より。
ゼロからマスターする要件事実 第62回
「請求原因の要件事実」には立証法則が組み込まれている
岡口基一(仙台高等裁判所判事)
タイトルは少し変えています。
前回は法律上の推定で、請求原因の要件事実と講学上の要件事実との差異説明。
今回は、それ以外の3つの例で、請求原因の要件事実に立証が組み込まれていることを説明。
【1】法により立証が免除されている場合
まず1つめが、法により立証が免除されている場合で民法419条2項を例示。
金銭債務不履行時の損害賠償で、債務者が損害の証明を免除されている。
講学上は、損害賠償請求なので、損害の発生が請求権発生の要件となる。
ところが、先の条項があり、原告は、事実の立証は不要になる。
結果、損害の発生は、請求原因の要件事実ではないとされる。
なるほど、先行して金銭債務不履行があるので、もう立証不要なんでしょうね。
【2】法により立証責任が転換されている場合
次に、法により立証責任が転換されている場合で、無権代理人への責任追及。
講学上は、法律行為当時、被告が代理権を有していなかったことが要求される。
ところが、民法117条1項は、立証責任を原告から被告に転換しており。
被告が、自身が代理権を有していたことを証明する必要があるとされている。
よって、請求原因の要件事実にはならず、むしろ被告が立証すべきなのだから。
抗弁の要件事実と位置付けられることになると。
【3】判例により立証責任が転換されている場合
最後に、法でなく、判例により立証責任が転換されている場合。
代表例が、準金銭消費貸借契約における旧債務の存在。
判例が、旧債務の存在を原告に負わせる代わりに。
旧債務の不存在の立証責任を被告に負わせることにしてしまったと。
次回は、公平の見地から、請求権の発生原因事実の反対事実が。
抗弁の要件事実になる具体例について説明すると。
今回、書いてあることは分かるのですけれど。
そのことがどういう示唆を行っているのかが、ピンときませんでした。
うーん。
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