要件事実の説明ができなくなり始めている法曹_ゼロからマスターする要件事実
要件事実の説明ができなくなり始めている法曹_ゼロからマスターする要件事実
月刊「税理」2021年3月号より。
ゼロからマスターする要件事実 第63回
要件事実の説明ができなくなり始めている法曹
岡口基一(仙台高等裁判所判事)
前回は法律上の推定では、請求権の発生原因事実となる事実Aそのものでなく。
事実Bを立証すれば良いので、請求原因の要件事実は、事実Bになるとの話だった。
これを受けて、最近の要件事実関係の文献では、論理説明のスキップがあり。
結論として事実Bが請求原因の要件事実だと説明しているものの。
手前の、請求原因の要件事実とは、請求権の発生原因事実だという説明から。
飛躍した説明しかしておらず、「理由の説明をしている文献は皆無」だと。
このあと、請負報酬契約あるいは保証債務の履行請求を例として。
上記のように、原則的な説明から外れる例外があることを示しています。
ただ、立証責任の転換でそうなる、ということの説明に留まっており。
どうしてこうなるのかについて、著者はあまり説明していません。
「解釈として、この転換を認めるのです」
「公平の見地からすると、……べきだからです」
私からすると、むしろ、これこそ中途半端な説明に見えるのですが。
法曹の方々からすれば、これで納得できるものなのですかね。
むしろ、訴訟での攻撃防御のために、民法の条文をそのまま使うのではなく。
主張立証責任を加味して要件構造を組み替えたものが要件事実論における民法だ。
そのようにでも言ってくれた方が、まだわかりやすい気がするのですが。
もしかしたら、後の回でそういう説明が出てくるのかな。
でも、衣の後ろをチラチラ見せるような引っ張り方が続くと。
ちょっとイラッとするのは事実ですね。
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