結婚届のない限り法律が結婚と認めないのはなぜか 「家庭の法律」川島武宣
結婚届のない限り法律が結婚と認めないのはなぜか 「家庭の法律」川島武宣
「家庭の法律」第二版
川島武宣 岩波新書
岩波書店 1981年2月20日第1刷発行
今更川島先生の本を少しずつ読んでいるのですが。
旧民法時代との違いを説明していて面白いです。
なにせ、旧民法時代が常識だった人が読者という筆致なので。
あ、その頃はそういう考え方が常識だったのねが逆説的に分かる。
扶養の考え方なども、へーって感じです。
やはり、時代による変遷で考え方がいろいろ変わっていますね。
さて、ちょっと興味深かったのが、結婚届が何故必要かという話。
三三九度のような徳川時代以来の習慣を法律が無視しているのは何故かと。
「そのもっとも大きな理由は、私たちの生活のしかたが変わってしまったから」だと。
以前は、一箇所定住で、狭い地域社会で誰が既婚・未婚は誰でも自明だった。
しかし、憲法22条で居住移転の自由保障もあり、あちこち移住することが増えた。
互いに他人の生活を知り合うことが減り、既婚かどうかは分かりづらくなっている。
このような社会では、既婚・未婚をすぐに分かるようにしておく必要がある。
「結婚届をするようにして、戸籍簿に書くということは、そのための技術なのです。」
なるほど。
書いてないですが、結婚というのは、社会的単位を作り出す行為だから。
当事者だけ知っていればいいだろう、では済まないという前提があるわけですよね。
最近、同性の結婚を認めるべきだとの意見もありますが。
そのためには、先にやるべきことがあるだろうが、私の持論です。
つまり、現在の異性婚前提での結婚の持つ社会的機能をまずは分解して。
どれが、同性婚でも維持できる機能なのかの検討が先になる筈なのです。
例えば、相続などは異性婚前提で組み立てられているのは自明。
このあたりを果たしてどうすべきなのかとか。
扶養の範囲をどう区分けするのかとか。
真面目に考えれば、幾らでも出てくるわけです。
そういう積み上げの議論なしに、何かやると社会が混乱するのは明らか。
両性の差別は憲法違反とだけ言うのは、無責任極まりないと思うわけです。
やるなら、手順を踏んで、新しい秩序を生み出してほしいです。
別に今のシステムが最善ではないが、変更者は将来世代への責任がある筈。
変更後のそれが自分の価値観に合うかどうかは、それぞれの個人の問題ですが。
いずれにせよ、今の議論の多くは、やる気がないとしか私には見えません。
妄言多謝。
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