副業・兼業をめぐる法的論点_月報司法書士
副業・兼業をめぐる法的論点_月報司法書士
月報司法書士2021年8月号より。
特集 新しい働き方と法律
副業・兼業をめぐる法的論点
田村裕一郎・井上紗和子
(多湖・岩田・田村法律事務所 弁護士)
平成30年1月策定の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」について。
令和2年9月1日に改定されており、これを踏まえて法的論点を検討すると。
平成29年以前は、副業は事実上禁止されている状況にあり。
モデル就業規則でも、副業・兼業禁止違反が懲戒事由になっていたと。
ところが、平成30年ガイドライン策定時の就業規則モデル改定があり。
これら規則は削除され、勤務時間外での兼業を可能とする規則が入った。
ガイドライン改正でも、方向性は基本的に承継しており。
副業容認の上で、安全配慮義務・秘密保持義務・競業避止義務・誠実義務が雇用契約附随の義務として存在しているとの指摘がされていると。
企業側が、一切の事情斟酌せずに一律禁止することはできず。
副業申し出があった場合、どういう場合に禁止するか検討しておくべきだと。
そこで申請があった際に、
・他の使用者の事業場の事業内容
・他の使用者の事業場で労働者が従事する業務内容
・労働時間通算の対象となるか否か
等を確認する必要があると。
そりゃそうですね。
で、法的に重要なのは、この労働時間通算対象か否かなんですね。
労基法38条1項では、事業場が異なっても通算するとなっており。
通達で、事業主が異なる場合も含むことが解釈として明確化されている。
すると、36協定の締結・届出義務や割増賃金の支払義務を負うか。
検討する必要があるのだと。
ただ、この通算が働くのは、本業雇用・副業雇用の組み合わせのうち。
全てではなく、一部に限られるのだという。
この他、健康確保措置の話や、企業秘密の流出・流入の問題。
労災での通勤災害の問題などもあると。
うげー、もうこうなると、論点の所在を押さえた上で。
弁護士あるいは社労士の方におまかせするしかないのかもですね。
顧問がいなければ、ハローワークなどで個々に聞くしかないのか。
ただ、ちゃんとした答えが得られるのか不安。
いずれにせよ、簡単に言える話でないことは理解できました。
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