未来の法体系を検証してみる_ゼロからマスターする要件事実
未来の法体系を検証してみる_ゼロからマスターする要件事実
月刊「税理」2022年6月号より。
ゼロからマスターする要件事実 第78回
未来の法体系を検証してみる(その3)
岡口基一(仙台高等裁判所判事)
建物引渡債務の履行遅滞に基づく損害賠償請求権を題材の続きで。
保留していた「③期限までに建物の引渡しがされなかったこと」について。
条文上は、民法415条1項本文に該当するので。
請求権発生要件となり、原告である買主が立証責任を追うはずが。
実際には、司法研究所民事裁判教官室は、③の反対事実について。
被告である売主が立証すべきとの見解にたっている。
これは大審院判例とも親和的であると。
このあたり、学説の多くは、司法研究所見解に批判的であり。
内田貴教授だけが正しく理解していると。
③の反対事実を発生障害要件にまわしているのではないと。
被告が「建物を引渡したこと」を立証すべきであるから。
これを抗弁としているのだと。
うーん、履行遅滞により生じる債権というのは。
元々、買主の引渡請求権という本来の債権ありきですよね。
そこでトラブルが生じたことから発生しているので。
副次的に発生した債権なのでしょう。
本来の債権も副次的に発生した債権も、無理に統一的に「債権」で括って。
そこから立証責任の分配というのが、そもそも違和感ですよね。
立証というスタンスで言えば、そもそも異質の存在。
それを同質視してルール作るのが不自然でしょう。
実体法と手続法ないし訴訟法との区分が著者主張ですが。
そもそも、理屈では、その手前に分岐があるように思えちゃうんですよね。
著者は、未来の法体系と従来の要件事実論は結論合致で。
次号でそのからくりを説明すると書いていますけれど。
なんか、相当遠回りな説明を受けている感が否めません。
いえ、あくまでも法律素人の感想に過ぎませんが。
| 固定リンク
「書籍・雑誌」カテゴリの記事
- 作家の曽野綾子さん死去、93歳…青春小説「太郎物語」や妊娠中絶テーマ「神の汚れた手」_読売新聞(2025.03.09)
- 3月からファミマとローソン計1万店で雑誌販売終了 書店ない地域で〝難民〟発生か_産経新聞(2025.02.13)
- ページ切り取りやぬれた本、図書館であえて展示…増加しているのは付箋を貼ったままの返却_読売新聞(2025.02.07)
- 「失敗の本質」の野中郁次郎さん死去、89歳…一橋大名誉教授の経営学者_読売新聞(2025.01.27)
- 伊丹敬之先生は井尻教授と接点があった_企業会計(2024.11.30)
「税務」カテゴリの記事
- 私が脱税!? 父の教訓、身辺整理はしっかりと 相続税に苦戦 森永卓郎さんが残した言葉_産経新聞(2025.02.11)
- マンション修繕費4700万円を自分の口座に移動させ横領 元社員逮捕 総額9億円被害か_産経新聞(2025.01.30)
- 扶養の範囲と年収の壁_週刊T&A master(2024.12.12)
- 国民案なら減税7.6兆円 「年収の壁」で政府試算_共同通信(2024.11.01)
- 大昔にある税務雑誌の購読を止めた件(2024.10.07)
「法律全般」カテゴリの記事
- 医師の差し戻し審、再び無罪 患者にわいせつ「幻覚の可能性」―東京高裁_時事通信(2025.03.17)
- フタバ産業の九州子会社、下請法違反で勧告 量産終了の金型を無償保管_日刊自動車新聞(2025.03.15)
- 首都圏マンションの大規模修繕工事で談合疑い…管理組合発注を対象、設計監理会社側も関与か_読売新聞(2025.03.06)
- マイナンバーカード画像送信で本人確認 再来年廃止へ 警察庁_NHK(2025.03.04)
- コンサル契約のクーリングオフ申し出ると「そういうのやってない」とうそ、容疑の2人逮捕_読売新聞(2025.02.25)
コメント