イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計
イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計
企業会計2023年1月号より。
ある法学者の思い出 第6回
酒巻俊雄(早稲田大学名誉教授)
かつて商法の大小会社の区分立法の動きがあった際に。
指導的な地位を果たしたのが、酒巻教授だったと記憶します。
さて、酒巻先生は、イギリスにお住まいの時期があったのですね。
イギリス法について述べておられます。
コモン・ローを普通法として、通常事案は普通法裁判所で解決される。
しかし、
「コモン・ローで解決すると、かえって正義・衡平(equity)の観点から不当な結果となる場合には、大法官に救済を求め妥当な解決が与えられる。コモン・ローとは別個・独立の法体系として形成されたのが衡平法(equity law)であり、普通法裁判所とは別個の裁判所として形成されたのが衡平法裁判所であり、その長官が大法官であった。信託(trust)や差止命令(injunktion)などが、その典型的分野である。」
このあたりは、樋口教授の入門信託法あたりで学んでいた部分ですが。
更に先の部分の説明がありました。
「しかし、経済社会が変化し、コモン・ローでは対応できない状況が多くなると、当然、議会が成文法としての制定法(statute)を定めて対応せざるを得なくなる。その結果、前2者が判例法であるのに対し、制定法は成文法である。したがって、イギリスでは、法体系が普通法、衡平法、制定法の3段階を形成しているが、これら法令の適用順序としては、成文法は判例法に対し特別法の地位にあるので、「特別法は一般法に優先する」という法規則に従い、まず制定法が優先的に適用され、その重要性が増大している。」
そして、「ベニスの商人」は普通法・衡平法の理解が前提になっているとの理解からトマスモアが著者ではないか、との井上茂教授の説を説明しています。
へー、ポーシャの説明って、言われればなるほどですね。
子どもの頃は、一休さんの頓智かいなってな感想でしたけど。
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