債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実
債権=請求権?_ゼロからマスターする要件事実
月刊「税理」2023年2月号より。
ゼロからマスターする要件事実 第85回
債権=請求権?
仙台高等裁判所判事 岡口基一
またちゃぶ台返しがありました。
「民事訴訟の大半は債権に基づくものですから、それが、ヴィントシャイトの発明した請求権に基づくものではなく、もともと実体法にある債権自体に基づくものであるとすると、民法は裁判規範かもしれないと思えてきた前回までの検討もまた軌道修正を余儀なくされます。」
結局、立脚点が右往左往するから、こうなるのでしょうね。
行為規範か裁判規範かによって、何が大きく影響受けて、何が無視できない差異になるのか。
そこから話を進めていかないから、都度、結論が入れ替わります。
そりゃそうでしょう、元々、両面持っている制度なんですから。
恐らく、著者は、連載には向いていない人なんでしょうね。
書籍だと、途中のこういう問題が解消して出版され、整合性だけ見える。
多分、雑誌連載で読む読者の感想と。
書籍で読む読者の感想が、全く違う人なんじゃないかと。
で、素人目からは、物権と債権との関係についてですが。
ルールの意味合いが違うので、フラットに扱えるのかという疑問があります。
以前、物権法は「秩序」だと四宮・能見本で学びましたので。
「第四に、市民社会における活動を支える前提的な秩序に関するルールがある。これは、さらに物や財の種類・帰属に関する物権的秩序(民法の物権編が扱う)と、婚姻・親子といった生活の基盤に関する家族的秩序(民法典の親族相続編が扱う)とに分かれる。」(「民法総則〔第6版〕」四宮和夫・能見善久 弘文堂 平成14年4月30日第6版1刷発行 P3)
取引ルールと言ってよい債権法とは、根本の性質が違うわけでしょう。
それをまとめて扱うのなら、冒頭に書いたように、
”行為規範か裁判規範かによって、何が大きく影響受けて、何が無視できない差異になるのか”
を先に詰めないと、また行ったり来たりするのだと思います。
いや、これは法律も民法も永遠の素人である者の勝手な独り言ですが。
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