債権と請求権は別物とする説その1_ゼロからマスターする要件事実
債権と請求権は別物とする説その1_ゼロからマスターする要件事実
月刊「税理」2023年3月号より。
ゼロからマスターする要件事実 第86回
債権と請求権は別物とする説その1
仙台高等裁判所判事 岡口基一
従来の日本の法学会では債権と請求権は同一というのが常識だったと。
しかし、この2つは本当に同じかと。
先日亡くなった京大の潮見教授は、履行請求権という考え方を提唱。
2つは違うというのが有力説にはなったものの、通説には至っていないと。
そして、これとは別に、司法研修所民事裁判教官室がやはり異説を提唱。
通常の債権である貸金債権で、債権と請求権を別の概念とする見解だと。
これを次回説明するそうです。
で、文中で出てきた下記が、恐らく次回展開されそうな気がします。
「民法は、行為規範か裁判規範かそのいずれかであるというものの考え方をしてきましたが、そうではなく、民法の中に、行為規範と裁判規範が混在していうという考え方もできるとすると、要件事実論は、裁判において用いる理論ですから、民法の規定のうち、裁判規範であるもののみを念頭に理論を構築すればいいことになります。」(注:文中「混在していう」は原文のまま)
ただ、これを言い出すと、今までの議論の多くは無駄じゃないか……。
いや、まぁ、どこを着地点とするのか、もう少し見るしかないですか。
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