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2023/03/27

債権と請求権は別物とする説その2_ゼロからマスターする要件事実

債権と請求権は別物とする説その2_ゼロからマスターする要件事実

 月刊「税理」2023年4月号より。

ゼロからマスターする要件事実 第87回
債権と請求権は別物とする説その2
仙台高等裁判所判事 岡口基一

 今回の説明は、久々に、心からなるほどと思いました。
 いや、従来から疑問に思っていた部分がスッキリしました。

 売買契約が成立すると直ちに売買債権=売買代金支払請求権が発生する。
 民法ではこのように説明を受けるわけですが、非常に違和感があります。

 まだやるべきことが終わっていないのに、何故請求権が生じるのか。
 物の引渡が終わっていない段階で、どうして対価請求できるのか。

 前々から、この点疑問でした。
 少なくとも、税法などを理解する前提としてはほぼ無価値な説明。

 いつも読む都度、モヤモヤしていた部分だったわけです。
 ところが今回の話は、この点に解決を与えてくれるものでした。

 結論から言えば、上記の考え方は修正できるだろうというのですね。
 つまり、売買代金支払時期に売買代金支払請求権が発生すると考える。

 売買契約成立時に、即売買債権=売買代金支払請求権が発生と言わない。
 「常識」から離脱した考え方が可能だろうと。

 このような考え方は、平成23年の新問題研究要件事実がベース。
 司法研修所民事裁判教官室が、改説したのだと。

 ただし、この書籍では、移転型契約そのものではなくて。
 貸金返還請求権の事例で説明しているようですが。

 考え方そのものは、貸金債権以外でも応用可能であり。
 請負債権も、完成時に請負報酬請求権が発生すると考えられると。

 同様の役務提供契約である委任・寄託も同様の構造が観念可能だと。
 つまり、債権と債権的請求権を区別することで合理的説明が可能になる。

 うん、今回の説明は以前からの違和感も解消できる説明です。
 税法の前提として民法を学ぶ身には、非常にありがたい説明とも言えます。

 これが理想の要件事実と関わるという話が次回らしいですが。
 その点がどうのこうのは別にして、今回は非常に良かったです。

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