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2024/07/04

「除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用となる場合もあり得る」最判令和6年7月3日

「除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用となる場合もあり得る」最判令和6年7月3日

 除斥期間について、最高裁は判例の変更を行ったのですね。

最高裁判例令和6年7月3日  最高裁判所大法廷  判決
令和5(受)1319  国家賠償請求事件
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/159/093159_hanrei.pdf

「しかしながら、本件の事実関係の下において、除斥期間の経過により本件請求権が消滅したものとして上告人が損害賠償責任を免れることは、著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない。平成元年判決が示した上記の法理をそのまま維持することはできず、除斥期間の主張が信義則違反又は権利濫用となる場合もあり得ると解すべきであって、本件における上告人の除斥期間の主張は、信義則に反し、権利の濫用として許されないというべきである。」
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/159/093159_hanrei.pdf#page=9

 これについて、

「そして、このような見地に立って検討すれば、裁判所が除斥期間の経過により上記請求権が消滅したと判断するには当事者の主張がなければならないと解すべきであり、上記請求権が除斥期間の経過により消滅したものとすることが著しく正義・公平の理念に反し、到底容認することができない場合には、裁判所は、除斥期間の主張が信義則に反し又は権利の濫用として許されないと判断することができると解するのが相当である。これと異なる趣旨をいう平成元年判決その他の当裁判所の判例は、いずれも変更すべきである。」
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/159/093159_hanrei.pdf#page=14

 このように判事して判例変更を明確化した。

 結論はそうだろうな、なのですが。
 いかにもアドホックな判断にしかなっていない。

 このあたりを乗り越える理論が民法学者から登場するのか否か。
 個人的には、今回のはクリーンハンドに近い感触がありますが、まぁ、素人感想です。

 なお、宇賀先生の補足意見は必読ですね。
 除斥期間でなく消滅時効だと判例変更すべきだったと仰っています。

 そうしないと、今後も不安定な問題が起き続けるよと。
 傾聴すべき意見なのでしょうね、きっと。

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