性風俗業をコロナ給付金から除外は「合憲」 最高裁で事業者の敗訴確定_東京新聞
性風俗業をコロナ給付金から除外は「合憲」 最高裁で事業者の敗訴確定 宮川美津子裁判長だけ「違憲」指摘
東京新聞 2025年6月16日 20時23分 (三宅千智)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/412148
「新型コロナウイルス対策の持続化給付金などの支給対象から性風俗事業者を除外した国の規定が、法の下の平等を定めた憲法に違反するかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(宮川美津子裁判長)は16日、原告側の上告を棄却した。規定を「合憲」として原告敗訴とした一、二審判決が確定した。」
早速最高裁サイトで判決が収録されていました。
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事件番号 令和6(行ツ)21
事件名 持続化給付金等支払請求事件
裁判年月日 令和7年6月16日
法廷名 最高裁判所第一小法廷
裁判種別 判決
結果 棄却
判示事項
国が風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律2条7項1号所定の無店舗型性風俗特殊営業を行う事業者に対して持続化給付金給付規程(中小法人等向け)(令和2年8月1日付けのもの)及び家賃支援給付金給付規程(中小法人等向け)(同年10月29日改正前のもの)に定める各給付金を給付しないこととしていることは、憲法14条1項に違反しない
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=94179
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全文
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/179/094179_hanrei.pdf
ちょっとおもしろいなと思ったのは、下記。
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(1)本件各給付金は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響等により売上げが減少するなどした中小法人等の事業の継続を支えるとの政策目的を実現するため公費により給付されるものであって、給付対象とされない者の権利の制約を伴うものでもないことからすると、被上告人国において本件各給付金に係る制度を設けるに当たっては、政策的な見地から種々の考慮要素を勘案して給付対象者の範囲を画することが許されるというべきである。
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「給付対象とされない者の権利の制約を伴うものでもない」から、給付対象者を絞るのはOKだと。
逆に言えば、給付対象外の者の権利に制約を与えるのであれば。
給付対象者の範囲を絞るのは許されないってことですか。
そういう考え方をするのですね。
論理的に必然でもないと思いますが、これはそういう考え方だと理解すべきなんだろうな。
続いて、給付対象から除外される事業者の特色について。
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(2)本件各取扱いは、本件特殊営業を行う事業者に対して本件各給付金を給付しないこととするものであるところ、本件特殊営業は、「人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの」(風営法2条7項1号)であり、事業者が、その派遣する接客従業者をして、不特定の者の性的欲望を満足させるために身体的な接触を伴う役務を提供させ、その対価を受ける点に特徴がある。
そして、本件特殊営業については、風営法において種々の規制がされているところ(第4章第1節第2款)、これは、本件特殊営業が上記の特徴を有することに鑑み、このような規制をしなければ、善良の風俗や清浄な風俗環境を保持し、少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止することができないと考えられたからにほかならない(同法1条参照)。また、風営法が本件特殊営業を届出制の対象としているのは(31条の2)、本件特殊営業については、その健全化を観念することができず、風俗営業(同法2条1項)に対するものと同様の許可制をとること、すなわち、一定の水準を要求して健全化を図ることを前提とした規律の下に置くことは適当でないと考えられたことによるものと解される。
以上のとおり、本件特殊営業は、現行法上、上記のような規制をしなければ善良の風俗や清浄な風俗環境が害されるなどのおそれがあって、その健全化を観念し得ないものとして位置付けられているところ、本件特殊営業が上記の特徴を有することからすると、このような位置付けが合理性を欠くものであるとはいえない。
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善良の風俗や清浄な風俗環境が害されるおそれがあるとの特徴から。
規制すべきものと位置づけられていて、それは一応合理性があると。
その点を踏まえて、給付対象からの除外は不合理と言えるかについて。
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(3)本件各取扱いは、本件特殊営業の事業内容に着目し、その事業者を給付対象から除外するものであるが、本件特殊営業についての上記のような現行法上の位置付けや、本件特殊営業においては、接客従業者が顧客の指定する場所に出向いて上記のような役務を提供するという業務態様であることから、接客従業者の尊厳を害するおそれがあることを否定し難いものであることに照らせば、被上告人国において本件各給付金に係る制度を設けるに当たり、本件特殊営業を行う事業者に対しては、公費を支出してまでその事業の継続を支えることは相当でないと判断し、給付対象から除外して区別することが不合理であるということはできない。
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事業者が、前述の規制を受けるものであることに加えて、
「本件特殊営業においては、接客従業者が顧客の指定する場所に出向いて上記のような役務を提供するという業務態様であることから、接客従業者の尊厳を害するおそれがあることを否定し難いものであることに照らせば」
すごい。
ここで、「接客従業者の尊厳を害するおそれがあることを否定し難い」が出てくるんだ。
つまり、事業として歪だ、と言っているのでしょうね、これ。
そして、歪だから、公費支弁で事業継続支援までは妥当ではないと。
背後の価値観としては、消極的な存在価値までも否定するものではないが。
積極的な存在価値を、現在の社会は肯定できないでしょ、ってことですか。
俗に「必要悪」と言われるものについて、こういう判断をしたと。
なかなか言葉にしづらいことを、判決文で書くと、こうなるのですね。
で、面白いのは、裁判長自身が反対意見を1人述べていて。
あとは皆賛成で多数意見だったと。
裁判長だからと言っても、1意見に過ぎないという扱いになる。
地裁や高裁でもこういうことが起きうるのか、ちょっと興味あります。
まぁ仮にあっても、最高裁と違って、反対意見や補足意見は判決文に出てこないので。
我々にはわからない、が結論なのでしょうね。
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