カテゴリー「信託・信託法」の62件の記事

2023/01/01

イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計

イギリスの法体系(酒巻俊雄教授)_企業会計

 企業会計2023年1月号より。

ある法学者の思い出 第6回
酒巻俊雄(早稲田大学名誉教授)

 かつて商法の大小会社の区分立法の動きがあった際に。
 指導的な地位を果たしたのが、酒巻教授だったと記憶します。

 さて、酒巻先生は、イギリスにお住まいの時期があったのですね。
 イギリス法について述べておられます。

 コモン・ローを普通法として、通常事案は普通法裁判所で解決される。
 しかし、

「コモン・ローで解決すると、かえって正義・衡平(equity)の観点から不当な結果となる場合には、大法官に救済を求め妥当な解決が与えられる。コモン・ローとは別個・独立の法体系として形成されたのが衡平法(equity law)であり、普通法裁判所とは別個の裁判所として形成されたのが衡平法裁判所であり、その長官が大法官であった。信託(trust)や差止命令(injunktion)などが、その典型的分野である。」

 このあたりは、樋口教授の入門信託法あたりで学んでいた部分ですが。
 更に先の部分の説明がありました。

「しかし、経済社会が変化し、コモン・ローでは対応できない状況が多くなると、当然、議会が成文法としての制定法(statute)を定めて対応せざるを得なくなる。その結果、前2者が判例法であるのに対し、制定法は成文法である。したがって、イギリスでは、法体系が普通法、衡平法、制定法の3段階を形成しているが、これら法令の適用順序としては、成文法は判例法に対し特別法の地位にあるので、「特別法は一般法に優先する」という法規則に従い、まず制定法が優先的に適用され、その重要性が増大している。」

 そして、「ベニスの商人」は普通法・衡平法の理解が前提になっているとの理解からトマスモアが著者ではないか、との井上茂教授の説を説明しています。

 へー、ポーシャの説明って、言われればなるほどですね。
 子どもの頃は、一休さんの頓智かいなってな感想でしたけど。

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2021/10/07

事業承継信託_信託協会

事業承継信託_信託協会

事業承継信託 信託協会
https://www.shintaku-kyokai.or.jp/products/individual/assetsuccession/business_succession.html

 これによると、事業承継信託は4パターンに分類できると。

1 他益信託

 これは現経営者はもう受益者でなくなってしまうパターン。

2 遺言代用信託

 相続発生までは現経営者が受益者だが、相続発生により後継者が第2受益者に。
 相続発生しても、信託が終了しないのがポイントでしょうか。

3 帰属権利者型信託

 2との違いは、相続発生時に信託が終了してしまう点。
 信託終了時に、信託財産となっていた自社株を帰属権利者に交付することになると。

4 受益者連続型信託

 現経営者死亡により、第一後継者に受益権を取得させ。
 更に、第一後継者死亡時に、第二後継者に受益権を取得させる。

 この他、認知症への備えの対応で、指図権を後継者に移転する対応も可能と。

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2021/02/01

「死後全額贈与の契約は無効」 名古屋地裁岡崎支部「公序良俗に反する」_毎日新聞

「死後全額贈与の契約は無効」 名古屋地裁岡崎支部「公序良俗に反する」_毎日新聞

「死後全額贈与の契約は無効」 名古屋地裁岡崎支部「公序良俗に反する」
会員限定有料記事 毎日新聞2021年1月29日 21時07分(最終更新 1月29日 21時07分)
https://mainichi.jp/articles/20210129/k00/00m/040/397000c

「身寄りのない高齢者の身元保証を請け負う愛知県安城市のNPO法人「えんご会」が、死亡した高齢者との贈与契約に基づいて金融機関に預金の返還を求めた訴訟の判決があり、名古屋地裁岡崎支部は「公序良俗に反する契約で無効」として請求を棄却した。」

 身寄りがない高齢者の身元保証していたNPO法人と高齢者との間で。
 高齢者が死後に自分の全財産をNPOに贈与する契約が結ばれていたと。

 全財産の金額がどの程度のものかわかりませんが。
 施設関係では寄附の話って出やすいので、注意すべき話でしょうか。

 ただ、公序良俗違反という一般条項での判決なんですよね。
 感覚的に、控訴で逆転ということもあるのかなという感じです。

 なんか、最近、信託の裁判例とかもそうでしたけど。
 一般条項で判決が出る例を時折目にします。

 正直、事実認定が粗いのじゃないかと邪推します。
 事実認定で法理を導き出せなかった結果ではないかと。

 いや、法律素人の戯言ですから、スルーして下さいねん。



 

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2020/11/28

金券ショップの最大のサプライヤーは誰か_日経ビジネス

金券ショップの最大のサプライヤーは誰か_日経ビジネス

株主優待で得をしない人たち
日経ビジネス 2020年11月24日 2:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO66418050Z11C20A1000000

 なるほど、株主優待で得た資産は信託財産になると。
 よって、株主優待優待券も信託財産になるが、これらは換金されることになる。

 結果、金券ショップでの最大のサプライヤーは信託銀行なのだと。
 うーん、信託の精神というのは、一般人の予想ではとても追いつかないかもしれませんね。

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2020/04/02

子供とともに歩んだ民事信託の夜明け[渋谷陽一郎](金融法務事情)

子供とともに歩んだ民事信託の夜明け[渋谷陽一郎](金融法務事情)

 金融法務事情2020年03月25日号(No.2134)より。

○法務エッセイ ON&OFF
 子供とともに歩んだ民事信託の夜明け
 渋谷陽一郎

 先ごろまで、金融機関向け信託の連載を続けておられた渋谷先生の稿。
 いろいろビックリです。

 お子さんが、指定難病にかかっていて、子育てで大変な時期を送りつつ。
 改正信託法の黎明期の実務を切り開こうとしていたのですね。

 障害をお持ちのお子さんがいるということがどういうことか。
 私のような人間でも、ひしひしと垣間見ることが出来た気がします。

 で、何故、渋谷先生が、肩書なしで執筆されてきたかですが。
 なんと、信託銀行と司法書士会との対立時期が背景にあったのですね。

 こりゃびっくり。
 どの業界も、いろいろ事情がありますね。

 それにしても。
 「金融機関のための民事信託の実務500問」(仮題)の出版待たれますね。

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2020/04/01

民事信託による証券口座・証券取引の法的諸問題(金融法務事情)

民事信託による証券口座・証券取引の法的諸問題(金融法務事情)

 金融法務事情2020年03月25日号(No.2134)より。

○論説
 民事信託による証券口座・証券取引の法的諸問題
 山中眞人(弁護士・民事信託士)

 信託業法の適用のない信託において個人が受託者となる場合で。
 証券口座・証券取引を扱う場合の問題点を検討している。

 ほぼ私自身が興味がない論点なのでパス。
 現実味がどの程度あるのだろうか、と思ってしまいますので。

 ただ、受益者が複数存在する場合の公平について記述がありました(P13)。
 ここは一般論として、ちょっと興味あるところ。

「実務的には、委託者兼当初受益者の死亡時に信託を終了させるのが1つの選択肢」

 だと。確かに、一番無難でしょうね。

 とは言いながら、

「後継受益者がいる場合は、信託契約の定め方次第ではあるものの、後継受益者の利益は当初受益者の利益に劣るといわざるを得ず、受託者もその前提で信託事務を処理すれば足りるように思われる。よって、後継受益者の利益を優先するのであれば、その旨を信託契約に規定しておくことが必要である。」

 というのは、どういう意味だろうか。

 後継受益者の利益 < 当初受益者の利益

 はいいとして、

「よって、後継受益者の利益を優先するのであれば、その旨を信託契約に規定しておくことが必要である。」

というのは、後継受益者の利益 > 当初受益者の利益 と扱うの意味か。

 しかし、「委託者兼当初受益者の死亡時に信託を終了させる」のと比較するのであれば、ここでは、後継受益者の利益 <=> 非後継受益者の利益 ではないのか。

 ちょっと筆者の言いたいことが見えないままでした。

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2020/03/26

加戸守行・愛媛県前知事死去(産経WEST)

加戸守行・愛媛県前知事死去(産経WEST)

加戸守行・愛媛県前知事死去
2020.3.24 20:41 産経WEST

 著作権関係では有名人ということと、愛媛県の元知事だと。
 その2点しか知らなかったのですが。

 中国・大連生まれで、文部省出身。
 日本音楽著作権協会(JASRAC)理事長の経験もあったと。

 その気骨ぶりは、大陸生まれということもあったのでしょうか。
 ご冥福をお祈りしたいと思います。

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2020/03/19

会計の受託責任解除機能とは、信託の構造で理解すればよいのか

会計の受託責任解除機能とは、信託の構造で理解すればよいのか

 昔、飯野先生の本か何かで書いてあったのだと思いますが。

 会計の報告は、受託責任の解除のためにある。
 これって、財務会計論では、基本中の基本ですね。

 Accountingという会計の用語の由来は。
 account for であるという話は、聞いたことあるでしょう。

 で、ここで受託者という言葉が出てくるわけです。
 あれっと思うのが、信託概念との繋がりがあるのかと。

 つまり、株主が委託者兼受益者となって、会社が受託者となる。
 このような信託としての理解が、会計の基礎なのかと。

 もしそうだとすれば、信託という言葉を使ってなくても。
 信託の精神で理解すべきものは、多いのかもしれない。

 さらに言えば、信託という言葉が使われている日本の憲法も。
 まさに、信託の構造で理解すべきなんでしょうね。

 

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2020/03/17

複層化信託における収益計上者は誰か

複層化信託における収益計上者は誰か

 季刊資産承継2020冬号(no.10)「特集Ⅱ第7回資産承継研究会セミナー報告」より。

○信託の資産・事業承継への活用
 活用例:複層化信託
 講演者:永安栄棟

 著者は、財務省解説の「仮に信託がないものとした場合に同様の権利関係を作り出そうとすればどのような権利関係となるかが参考になる」を踏まえて考えるべきだとして。

「元本受益権者に所有権が移転すると同時に、元本受益権者は信託財産から生じる収益を信託期間にわたり収益受益権者へ支払うべき債務を負担することになる」と整理できる、とする。

 この場合、収益も費用も、元本受益権者で計上すべきだというのですね。

 なるほど、考え方としてはありでしょう。
 少なくとも、B/S・P/L泣き別れ問題は解決できます。

 ただ、プリミティブに、収益受益権者が収益を得るとは考えないわけですから。
 現場からは、相当違和感を持たれるでしょう。

 また、確かにこの考え方はありえるのですが、ある意味規範論的であり。
 解釈論として、こう条文が読めるかというと、多分無理です。

 なので、ありえる考え方だとは思いますけれど。
 私は、このルートは以前放棄しました。

 でも、書きぶりが、これ以外を許さないような書き方です。
 これって野村資産承継研究所の見解ってことで、本当にいいのでしょうか。

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2020/03/16

新相続法を考えての民事信託の利用とその留意点[遠藤英嗣]

新相続法を考えての民事信託の利用とその留意点[遠藤英嗣]

 季刊資産承継2020冬号(no.10)「特集Ⅱ第7回資産承継研究会セミナー報告」より。

○新相続法を考えての民事信託の利用とその留意点
 講演者:遠藤英嗣(野村資産承継研究所 研究理事)

 新相続法の改正関係について。

 遠藤先生は、割合硬めに実務誘導されているので。
 配偶者居住権は、ある程度裁判例等出てから使うべきと。

 おっしゃる通りというか、基本、審判等で使うための道具だし。
 これを遺言で使おうというのはズレているというのが私見ですが。

 自筆証書遺言については、誰が書いたかの問題が生じるので。
 公正証書での作成徹底が良いだろうと。

 まぁ、専門家が勧めるべきは、まずこちらですよね。
 意思能力とかいろんな話が後で面倒。

 保管制度について、遠藤先生は法務省でも困っているようだと。
 そうなんですか、間に合うんですかね。

 で、特別寄与制度は「多分、使えない制度だろう」と。
 おお、言っちゃいました。

 「なぜなら6ヶ月という期間ですべての手続を済ませることはまず不可能ではないか」

 なるほどね。
 その他の相続法改正関係の話は省略。

 で、最後に家族信託について注意喚起があり、何でもできる夢を叶えるという考えから。
 「そういうものではなくなったという方に、頭を切り替えて欲しい」と。

 これから家族信託バブルがはじけるだろうことを踏まえた発言でしょうね。
 さて、どうなることやら。

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