カテゴリー「書籍・雑誌」の1000件の記事

2022/10/27

一度きりの大泉の話_萩尾望都

一度きりの大泉の話_萩尾望都

一度きりの大泉の話
萩尾望都
出版社 ‏ : ‎ 河出書房新社 (2021/4/21)
発売日 ‏ : ‎ 2021/4/21
https://www.amazon.co.jp/dp/B092D32ZPY/

 萩尾望都先生の漫画は、昔からかなり好きですね。
 SFへの愛が溢れていた以前のものは特に。

 後年のサイコ的なものは、たぶん読み手を選ぶのでしょうけど。
 しかし、あれもまた萩尾先生でしか描けないものだったのでしょう。

 で、萩尾先生と竹宮先生、そして増山さんがともに暮らした大泉。
 今回、この本で分かったことは、その青春の日々は、必ずしもハッピーな日々ではなかったということ。

 というよりも、今もって、萩尾先生の精神に影響を与える事件があった。
 そして、そのことが、最近の萩尾先生を繰り返し苦しめているのだと。

 この事件は、恐らく、誰が悪いというのではないのですね。
 いや、非常に失礼な言い方をすれば、ある意味全員が悪いともいえるのですが。

 ただ、若く思慮が足りない若者同士では、ありがちなことかもしれません。
 世の中、いつの間にか、なんとなくそれは風化していく。

 しかし、この場合、風化しなかったのですね。
 なぜか。

 萩尾・竹宮のお二人の才能が格別過ぎて、永続してしまうから。
 時間が経っても、風化どころか掘り起こされることしかない。

 この本を書いたのは、もう二度とこの話をしたくないから。
 思い出すだけで変調をきたす話題に、触れたくないのだと。

 萩尾先生が、この本を出すしかなかったことは、よくわかります。
 そして、何故タイトルで「一度きりの」とつけたのか、という気持ちも。

 私は、竹宮先生の作品も好きだし、増山さんが元になるカノンシリーズも好きです。
 世にも稀な才能が集結して、あれら作品群が出来たこともまた否定できません。

 でも、同じジャンルで、複数の才能あるクリエーターが創作を行っていけば。
 どうしても、似たような作品を扱ってしまうことがあり得ます。

 SF小説の世界では、それをお互いに茶化して扱う、ある種の寛容さがあった。
 著作権侵害だなんて怒らず、やられたらやりかえしたれ、で笑いあったり。

 しかし、彼女たちは若く、良くも悪くも、純粋過ぎたのでしょうね。
 かぶりが生じたことを、突き詰めざるを得なくなってしまった。

 もちろん、知識豊かな、そして先を見る目のあった増山さんがいたことで。
 萩尾・竹宮両先生の作品世界が、当時、豊穣を得た部分はあるでしょう。

 ただ、増山さんのコミットの仕方の危険性を、竹宮先生は気が付かなかった。
 逆に、文中記述からは、萩尾先生は直感的に感じ取っていたのでしょうね。

 カノンシリーズが完結しなかったことは、これでなんとなく納得できました。
 共同作品の難しさを、改めて感じます。

 そして、青春の苦さということについても。

 青春というのは、後で美化されるけれど、決していいことばかりじゃない。
 いや、それは皆知っている筈なのですが、他人には求めてしまう。

 私は、この本に会えたことを素直に喜びます。
 そして、だから竹宮先生を嫌いになったりもしないということも明言します。

 この本は、萩尾ファンはもとより、竹宮ファン特にカノンシリーズを読んだ人には。
 是非、読んでほしい本だと思います。

 なお、読んでいて、萩尾先生の作風の変化はこの事件の影響かなと。
 思っていたら、末尾の城さんの寄稿中で肯定する話が。

 後年の作品群は、あの事件がなければ生まれていなかったのかと。
 考えてしまうと、ちょっと複雑ですが、それもまた人生なのかも。

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2022/10/25

アクチオの時代_ゼロからマスターする要件事実_「税理」

アクチオの時代_ゼロからマスターする要件事実_「税理」

 月刊「税理」2022年11月号より。

ゼロからマスターする要件事実 第82回
アクチオの時代
仙台高等裁判所判事 岡口基一

 請求権が、歴史的にどのように生まれたのかを探ると。
 ローマ法の時代には、保護される権利という近代以後の概念はまだなかったと。

 ただし、裁判はあり、提起して勝訴判決で強制執行は可能だった。
 その際に、請求権の代わりに、アクチオ(訴権)が必要だったのだと。

 訴訟提起者は、裁判所に、自らに訴権があることを明らかにする必要があったと。
 原告が、訴権の発生要件に該当する事実の主張立証が求められたと。

 そして、被告には抗弁や訴訟上の抗弁権も認められていたと。
 後者の例が、消滅時効の援用権であり、日本民法と異なり抗弁権の位置付けだったと。

 他にも、同時履行の抗弁権も、後者の例として説明されています。
 著者は、アクチオは実体法上の権利に基づき訴訟を行う現代の訴訟と全く異なると。

 ただ、この説明だと、類似性ばかり強調されているので、違いが見えません。
 わかる人には、これだけでもわかるのかもしれませんが。

 次回は近代権利思想確立以後どうなったかという話らしいのですが。
 ちょっと、その前の話として。

 どこかで、上記の違いをもう少し説明補ってもらえないと。
 ちょっと読者は取り残されるんじゃないかなと。

 ただ、これまでの迷走した記述と異なって、歴史を辿るものなので。
 暫くは、それなりに安定した連載になるのかもしれません。

 その場合、肩書がどうなっているのか。
 このまま大学教授あたりになっていそうな雰囲気は漂いますが、果たして。

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2022/10/11

登大遊氏「テクノロジーマップ、技術カタログの在り方について」

登大遊氏「テクノロジーマップ、技術カタログの在り方について」

 登大遊氏によるデジタル庁での発表用資料ですが。
 題材の扱いが意表でした。

テクノロジーベースの規制改革推進委員会(第1回)提出資料
テクノロジーマップ、技術カタログの在り方について
2022年10月3日(月)
登大遊 *Daiyuu Nobori, Ph.D.* 所属: 独立行政法人 情報処理推進機構 (IPA) 等
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b1ae707f-8dfa-4b40-8003-e8eec74f6a02/32230edd/20221003_meeting_technology_based_regulatory_reform_outline_05.pdf

「どのようにして組織内の A 群の技術人材に自主的に受け入れられ、支持される技術情報を書き、発信すればよいか。それらの技術人材が育成された、1990 年代の著名な数々のコンピュータ雑誌等に、ヒントがある。」

 いやぁ、これはビックリでしたけど。
 あの時代、パソコン雑誌に夢中になった世代だけに、分かる気がします。

 もちろん、私はそんな技術的な部分はほとんどわかってなくて。
 HP95LX/100LX/200LXあたりで遊んでいた程度でしたけど。

 で、是非、出版社の方などに読んでほしいのは下記。
 
「A 群の技術人材に読んでもらえて自然に広まる「正統的技術記事」とは」
https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/b1ae707f-8dfa-4b40-8003-e8eec74f6a02/32230edd/20221003_meeting_technology_based_regulatory_reform_outline_05.pdf#page=12

 これからの出版の生きる道を示唆している気がします。

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2022/10/05

既掲載論文の著作権委譲に関するお願い_学士会

既掲載論文の著作権委譲に関するお願い_学士会

事務局からのお知らせ 学士会
『學士會会報』既掲載論文の著作権委譲に関するお願い
https://www.gakushikai.or.jp/info/info_copyright.html

著作権について
著作権の概要及び委譲について
https://www.gakushikai.or.jp/pdf/info/copyright.pdf

 過去に掲載された稿を電子化して、会員限定閲覧させるようにしようと。
 ところが、著作権譲渡の手続を受けておかないと、これはできないと。

 一定の時期からは、執筆依頼時にセットで依頼しているので大丈夫だが。
 過去分はないので、今回依頼していると。

 気になるのは、一定期間までに連絡がないと、移譲了承したとして処理するとの話。
 これって、無問題ではないけど、割り切ります、ということなんでしょうね。

 これに近い悩みを持っているところは多そうなので。
 1つの参考事例にはなりそう。

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2022/09/27

書籍「ゼロからマスターする要件事実」_月刊「税理」

書籍「ゼロからマスターする要件事実」_月刊「税理」

 税理2022年10月号は、

ゼロからマスターする要件事実 番外編
書籍「ゼロからマスターする要件事実」
仙台高等裁判所判事 岡口基一

 として、書籍のPRでした。
 つまり、先日書いた通り下記が私のコメントになります。
=====================================
ゼロからマスターする要件事実 ――基礎から学び実践を理解する 単行本(ソフトカバー) – 2022/9/26 ぎょうせい
岡口 基一 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4324111790

ぎょうせいのサイト
https://shop.gyosei.jp/products/detail/11258

 月刊「税理」連載の途中で挫折したけど、本なら読めるという人にはいい機会かも。
 ただ、ぎょうせいの電子版は最低レベルなので、紙の書籍を買うべきかどうかですが。
=====================================

 と書いたのですが。

 本日公開された下記動画によると。
 民法や民訴を理解していない読者向けだと。

 しかも、お仕事しなくて良いので。
 書き下ろしでイチから書かれたようです。

答弁書を眺めてみよう~素人が岡口基一と学ぶ要件事実~
素人が岡口基一と学ぶ要件事実 2022/09/27
https://www.youtube.com/watch?v=jbs4P2w5dWI

 なら、法律の専門教育を受けていない私が買うのはありかな。
 ちと悩みます。

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東洋経済ってもうダメなのかしら

東洋経済ってもうダメなのかしら

平気で「スーパーの惣菜」買う人の超残念な5盲点
「店内でやる作業といえば…」驚きの実態とは?
安部 司 : 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事
東洋経済ONLINE 2022/09/21 5:40
https://toyokeizai.net/articles/-/619047

 いかにもの、食品添加物が危険だと煽る記事っぽいですね。
 著者名とデマでtwitter検索すると、やはりそれなりに出てきます。

 ビジネス雑誌では、以前から怪しいビジネスの某ダメダメ誌と違って。
 東洋経済は、そこそこ頑張ってきたと評価してきたのですが。

 こういう記事を何度も掲載しているっぽいのでは、もうダメですね。
 個人的にコンビニで買わないビジネス雑誌のリストに入れます。

 ちなみに、ダイヤモンドは、時に変な記事出していますけれど。
 それでも、今回の東洋経済みたいなのはないような気がします。

 で、食品添加物の危険性をむやみに煽る記事が上記なら。
 下記は対極に位置する記事ですね。

風評に惑わされるな! 「食品添加物は危険」のウソ
『無添加はかえって危ない』の著者・有路昌彦氏に聞く
日経ビジネス 2019.6.14
中野 栄子(日経BPコンサルティング・プロデューサー)
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00059/061300032/

 日経が常に正しいなんて、全く思っていませんけれど。
 相対的に見れば、日経はかなりマシなほうですからねぇ。

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2022/09/21

訴状の書き方 (素人が岡口基一と学ぶ要件事実)YouTube動画

訴状の書き方 (素人が岡口基一と学ぶ要件事実)YouTube動画

訴状の書き方 (素人が岡口基一と学ぶ要件事実)
素人が岡口基一と学ぶ要件事実 2022/09/13
https://www.youtube.com/watch?v=JIZQ4WEaHTs

 訴状の書き方を岡口裁判官ができるだけわかりやすく説明してくれると。
 あ、最初の3分40秒くらいは服装とかの雑談なのですが。

 どうやらシリーズでやってくれるようですので。
 ちょっと楽しみですか。

 この動画見ると、岡口裁判官って案外素朴な人柄なのかなと思えます。
 なのに、SNSになるとなんであんな過激になるんでしょうね。

 あ、岡口裁判官は、今月中に下記書籍を発刊するようです。

ゼロからマスターする要件事実 ――基礎から学び実践を理解する 単行本(ソフトカバー) – 2022/9/26 ぎょうせい
岡口 基一 (著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4324111790

ぎょうせいのサイト
https://shop.gyosei.jp/products/detail/11258

 月刊「税理」連載の途中で挫折したけど、本なら読めるという人にはいい機会かも。
 ただ、ぎょうせいの電子版は最低レベルなので、紙の書籍を買うべきかどうかですが。

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2022/08/26

エピソードゼロ_ゼロからマスターする要件事実_税理

エピソードゼロ_ゼロからマスターする要件事実_税理

 月刊「税理」2022年9月号より。

ゼロからマスターする要件事実 第81回
エピソードゼロ
仙台高等裁判所判事 岡口基一

 前回(80回)で理想の要件事実論は一区切りだが。
 今回から補足編で、要件事実論の裁判規範としての請求権のルーツを探ろうと。

 そのために、大陸法・英米法を確認しつつ。
 次回でローマ法における民事裁判を確認してみようと。

 著者は、これによって、読者に残ったモヤモヤが解消するかもと。
 ……するのかなぁ。

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2022/08/16

インプレス、「いちばんやさしいWeb3の教本」の販売終了と回収を発表_INTERNET Watch

インプレス、「いちばんやさしいWeb3の教本」の販売終了と回収を発表_INTERNET Watch

インプレス、「いちばんやさしいWeb3の教本」の販売終了と回収を発表
INTERNET Watch 山田 貞幸2022年7月25日 18:30
https://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1427434.html

 いや、なかなか大騒ぎだったのですね。

ZENN
いま話題の某書籍と著者のおかしなところ
2022/07/22に公開
Riya Amemiya
https://zenn.dev/riya_amemiya/articles/1ed7572f29700e

 著者のtwitterは暫くこの件について何もなかったのですが。
 ようやく、謝罪などの言葉が並び始めました。

Tomohiro Tagami 「いちやさWeb3教本」発売中!
@tomohiro_tagami
https://twitter.com/tomohiro_tagami

で、インプレス自身も、お詫びを出しました。

2022.08.05 お知らせ お詫び
書籍『いちばんやさしいWeb3の教本 人気講師が教えるNFT、DAO、DeFiが織りなす新世界』の返品・返金方法(紙書籍/電子書籍版)のお知らせとお詫び
https://www.impress.co.jp/newsrelease/2022/08/info20220805.html

「あらためまして、今回の事案を引き起こしてしまった要因は弊社の編集体制にあると猛省し、編集者の知識向上はもとより、弊社内チェック体制の徹底、外部有識者による監修を含めた校正校閲の強化を行うことで、皆様のお役に立つモノづくりに邁進してまいります。」

 IT業界の出版でそれなりに信頼を築いてきたインプレス。
 今回を踏まえ、再発防止が徹底されるかどうか、注目ですね。

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2022/07/26

現在におけるセカンドベスト_ゼロからマスターする要件事実

現在におけるセカンドベスト_ゼロからマスターする要件事実

ゼロからマスターする要件事実 第79回
現在におけるセカンドベスト
岡口基一(仙台高等裁判所判事)

 月刊「税理」2022年8月号より。

 司法研修所民事裁判教官の要件事実論は、結論だけは正しい。
 しかし、理論は問題がある。

 このことについて、延々と説明してきたわけですが。
 当然ながら、結論も上記で終わりです。

 まぁ、現実から離れた結論を選択して、空理空論にならずに済んでよかった。
 そのように位置付けて終わりなのかなと。

 ただ、この連載、終わりとは書いていないので。
 まだ続けるのですね、今度は何書くのでしょうか。

 いずれにせよ、税理士向けの連載からは大きくかけ離れてしまっているので。
 連載続けるのなら、月刊「税」あたりに引っ越ししてくれればと思ったりします。

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